雑談

【旅のラゴス】あらすじと感想【人生とは壮大な旅のようなもの】

「一度は読みたい傑作小説」などのランキングには必ずと言っていいほど名があがる『旅のラゴス』。

表紙からも壮大な世界観が感じられる本作を手にとってから、独特な”非日常”の雰囲気にあっという間に引き込まれ、何度も読み返したくなる1冊となりました。

今回の記事では、『時をかける少女』などで知られる筒井康隆による小説『旅のラゴス』についてお話ししていきます。

『旅のラゴス』のあらすじ

舞台となるのは、高度な技術や文明を失い原始に戻る形となった、異空間と異時間がクロスする不思議な世界。

ある目的を持って旅をする主人公の男性「ラゴス」の視点で物語は進みます。

本作はSFに分類されるわけですが、SF的な要素が点在してはいるものの、現実と非現実がうまく溶け込んでいる「不思議な体験を綴った旅行記」として面白く、SF作品に慣れ親しんでいない人でも十分に楽しめるものです。

生涯をかけて旅を続けるラゴスの目的とは何か?
各地で出会う人々との交流や次々と起こる出来事が非常にテンポよく、爽快に読み進められる作品でした。

『旅のラゴス』が名作と言われる理由

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本書の単行本が出たのは1986年でした。
その頃から息長く読まれ続けてはいましたが、2014年頃、突然に増刷10万部を超える大ヒットととなったそうです。

出版社も「原因不明の謎のヒット」と呼ぶくらい不思議な現象だったといいます。

どうやら、Twitterで広がった「スタジオジブリが『旅のラゴス』のアニメ化を筒井康隆に持ちかけたが、筒井が断った」というデマが発端だったとの話もあるようです。
その真偽は不明ですが、本の中身が多くの人を惹きつけるものでなければそこまでの増刷はかかっていなかったでしょう。

今でもネットなどではおすすめ小説として頻繁に登場しており、あらゆる世代の人から長く愛され続けてきた作品だとわかります。

『旅のラゴス』の感想 (一部ネタバレあり)

ここからは、詳しい内容にも触れていきますので、事前情報なしに読みたいという方はご注意ください。

想像がつかない展開で一気に読めた

私が『旅のラゴス』を手に取ったきっかけは、よく文章を拝見している優れた書き手の方が「掛け値なしに私の人生を作った本」と紹介していたことでした。

どんな話なのかをまったく知らずに読み始めたものですから、開始早々、唐突に繰り広げられる「集団転移」のシーンに若干驚きました。
転移とは、思念を集中することで空間を一気に移動するというタイムリープのようなことをやるのですが、それ以外にも「壁抜け」や「読心術」などの超能力を持つ人々が各章で出てきます。

特に多くのSF作品に親しんできたわけではない私でも自然と楽しめたのは、この作品で醸し出される雰囲気や世界観が終始統一されていたからだったと思います。
また、ラゴスというのが常識があり合理的な考えを持つ人物であるため、それほど現実離れした感じを受けることが無く入り込めたのも良かったですね。

きちんとした筋立てがある物語ですが、続きがどうなるのかは想像がつかない展開で先が気になり、2日ほどで一気に読みました。

特に面白かったところ

最もワクワクしながら読んだのが、ラゴスの当初の旅の目的であった「先祖が残した書物を見つける」シーンです。

ひとところにとどまっていられないタイプのラゴスが何年も同じ場所に籠りあらゆる分野の本を読み漁る様子は、目的を持った人が何かに没頭するさまを客観的に見ているような気分になり「ああ、幸せってこういうことだよな」と思ったり。

高度な文明や技術が普及することを懸念するラゴスの葛藤からは、現代の人々が抱えている問題にも通じるところがあるなと興味深く読みました。

いったん目的を果たしたはずのラゴスですが、またひとり旅に出ます。
旅こそがラゴスの人生であって、平坦な道ばかりではないことを知りつつも先に向かう主人公から、「安定を望む気持ちが強いと冒険なんてできない」ということを言われているようで、100%共感はできないにしても羨ましく感じるところがありました。

無双状態のラゴスのこと

このラゴス、面白いくらいの「無双」状態で、行く先々で男性からは尊敬され、女性からは愛されまくるのです。

確かにラゴスは頭が良く、人に優しくバランスも取れた人間ではありますが、それにしてもモテすぎではないかと。

旅をすることがおれの人生に与えられた役目なんだ。それを抛棄(ほうき)することはできないんだよ。そして、君をつれて行くこともできない。

引用:旅のラゴス 104ページより

男女間の問題から生じる責任みたいなものよりも、旅をすることへの使命感を優先して生きるラゴス。
少なくとも女性である私は、小説の「中の人」とは分かっていても、ラゴスのプレイボーイっぷりには少し冷ややかな態度で読んでいた部分はありました…。

良くも悪くも、何歳になってもロマンを追い求める「かっこいい男」の姿をラゴスに見たような気はしています。

最後にちょっとした謎が…

これから読む人もいると思うので多くは書きませんが、ラストは「これは…?」と思わせる形で終わります。
読後しばらくは前のページに戻りながらあれこれ考えたりしました。

たくさんの人に読まれる作品のレビューというのは賛否両論さまざまな意見があるもので、旅のラゴスを「文句なしの傑作」と言う人もいれば、「ファンタジーっぽいラノベ」と結論づける人がいるのも事実です。

『旅のラゴス』が明確な答えを出さない小説だからこそ、彼の旅人としての人生をどう見るかは読者に委ねられていて、それがこの一冊を名作たらしめているところだとも感じました。

こんな人にオススメ
  • 現実離れした世界観を楽しみたい人
  • 旅のお供に読む一冊を探している人
  • 比較的短い時間でさくさく読みたい人
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しゅり
しゅり
海外居住経験なしで英検1級、TOEIC960点を取得。 日本にいながら英語を楽しく学ぶオススメの方法を中心に発信しています。 「スキルを積み上げて人生のハードルを下げる」をモットーに、のびのびと生きるアラサーです。