英検1級は、日本国内で実施される英語試験の中でも特に難易度が高いと言われるものの一つです。
資格としての活用も入試優遇、単位認定、海外留学など広範囲に渡り、一般的な認知度も高いため、挑戦しがいのある試験です。
「でも、実際のところどれくらい難しいの?」
受験したことが無い方にとっては、英検1級がどの程度のレベルなのか想像がつきにくいかもしれません。
今回の記事では、英検1級の難易度についてお話ししていきます。
- 2016年第2回の英検1級試験で一発合格
- 英検1級の対策法を含め、幅広い世代に向けた英語学習について発信中
英検1級の難易度
まずは、客観的に英検1級を見る上で参考になる国際的な基準に関してのお話です。
外国語の運用能力を、言語の枠や国境を越えて同一の基準で測ることができる国際的な指標としてCEFR(セファール)というものがあります。
※画像引用:About the CEFR levels – EF Video CEFR Database
英検は、各級の合格がCEFRのにほぼ対応しています。
CEFR | 英検級 | [参考]学年との対応 |
---|---|---|
C1~B2 | 1級合格 | 大学上級程度 |
B2~B1 | 準1級合格 | 大学中級程度 |
B1~A2 | 2級合格 | 高校卒業程度 |
具体的にCEFRで【C1~B2】がどの程度の英語力なのかについては、概要は以下のとおりです。
【C1】- CEFR
- 話す・聞く:言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。
- 書く:複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の詳細な文章を作ることができる。
- 読む:いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解できる。
【B2】- CEFR
- 話す・聞く:母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。
- 書く:幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。
- 読む:抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。
私自身が英検1級を受験して感じたのは、【B2】レベルの総合的に高い英語力は必要であるけれど、【C1】にあるような「言葉を探しているという印象を与えずに、流暢かつ自然に自己表現ができる」ほどのレベルはなくても合格は可能というところです。
英検1級の合格率
2015年の英検1級試験の合格率は、12.0%と発表されています。
その後のデータは正式に公表されていませんが、合格率はだいたい10%前後だと言われています。
❝記念受験❞をしている人が合格率を下げているといった意見もありますが、1級の受験料9,500円という決して安くない金額を考えても、英語に対するモチベーションが高い受験者がほとんどだと予想できます。
そんな1級受験者の中でも10%しか合格できないというデータから見ても、狭き門であることは間違いありません。
英検1級はTOEICだと何点ぐらい?
英検とTOEICでは、試験内容も大きく異なりますので英検の級に対して正確なTOEICスコアを出すのは難しいです。
ただ一般的には、英検1級はTOEICに換算すると950点くらいだと言われています。
「1級はTOEICでいうと900点くらい~」という表現もときどき見かけます。この感覚も間違ってはいないと思いますが、現にTOEICで900点を取れていても英検1級は不合格だったという人は少なくありません。
また、4技能の実力を測れるのも英検の特徴でして、「TOEICは満点だけどライティングとスピーキングが苦手」という人にとっては、英検1級の試験では難航する場合もあります。
英検1級の過去問から難易度を知る
実際の1級試験(過去問)を見ると難易度のイメージがつきやすいと思います。
特に、最初の単語のパートでいきなり1級レベルを突きつけられます。
The burglar was ( ) behind some trees, waiting for the owners to leave their house so he could enter and steal their belongings.
(1) suffocating (2) lurking (3) creaking (4) resonating
問題文の方は大意をつかみやすいレベルであるものの、選択肢に非常に難しい単語が並びます。
「英検1級ではネイティブも使わないような単語が出題される」と言われるくらいなので、1級対策の単語の勉強をかなり熱心にやらない限りは合格は難しいです。
逆に言うと、単熟語に関しては1級対策の単語帳を暗記さえしてしまえばクリアできるものではあります。
さらに、英検1級の一次試験の難関パートであるのがライティングです。
Write an essay on the given TOPIC.
TOPIC
Is space exploration worth the cost?
直近の過去問(2019年第2回)のライティング問題は上のとおり、「宇宙開発はコストに見合うか?」でした。
その他のパートのことも考えると、200語以上のエッセイを書き上げるための時間は25分ほどしかありません。
英語を書くことに慣れていない人だと「日本語でも難しいのに英語でなんて…」という印象を持つかもしれません。
さらに、難関である一次試験を合格した後に待ち受けている二次の面接試験も、ハードルが高い内容です。
二次試験(面接)では、ライティングと似たようなトピックが出題され、それに関して1分間のスピーチをします。
その後はスピーチに関して面接官から数問の質問があり、臨機応変に応答して会話を継続する能力が求められます。
「面接は帰国子女じゃないと厳しい」という感想を聞いたこともありますが、私のように純ジャパニーズ(独学)でも十分な対策をすれば合格ができる内容ではあります。
ただ、英語で意思疎通がはかれるレベル以上のことを要求されるので、時事や社会問題に対して英語で意見を言うトレーニングは積んでおいた方が良いです。
長文問題やリスニング問題については、英検協会のサイトから過去問をご参照ください。
【事実】英検1級は勉強の過程でハイレベルな英語力がつく試験
ここまで読んでいただいた方の中には、「自分には英検1級までのレベルは必要ない」と思う方もいるかもしれません。
確かに、1級の試験では日常的に使える英語力というよりも時事や社会問題などを読み解き、書き話すレベルが求められます。逆に言うと、学習過程でハイレベルな英語力がつくように作られた試験であるということです。
私の場合、2ヶ月半みっちり勉強して試験に臨み、なんとか一回目で合格できたのですが、2ヶ月半という相対的に短い期間で学んだ単語などは今でも日常で英語サイトを読むときや海外ドラマを観るときに役立っています。
学習者・指導者としてそれなりに長く英語をやってきた人生の中で、様々な英語の学習法に触れてきました。その中でも「英検1級の対策」をしていた2ヶ月半は相当濃くて有意義な時間でした。
難易度は高いですが、過去問や問題集を使って学習を進めることで英語力に磨きをかけ、試験に合格をしてその実力の証明書を手に入れる価値のある資格だと言えます。気になる方は、まずは英検1級に特化した単語学習からスタートしてみると良いと思います。
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