最近ではSNSが普及した影響もあり、「学歴は必要ない」という声をよく聞くようになりました。
実際に、世代別で意識に開きがあることを示す興味深いデータがあります。
- 昭和生まれ:「学歴が必要」と答えたのは6割
- 平成生まれ:「学歴が必要」と答えたのは4割
データ引用元:幸せな人生に学歴は必要なのか――平成生まれの6割「学歴はなくてもいい」 大卒であることのメリットなくなってる?
今回は、大学に行く理由・必要性に疑問を持っている方に向けて、主に以下の点についてお話ししていきます。
・大学に行けば学歴という❝保険❞が手に入る
・学歴が必要がどうかは就く職業によって変わる
これから大学に行くべきか迷っている高校生や、大学に入ったものの何か違うと思っている大学生のみなさんは、一つの意見として参考までにお読みいただけたら嬉しいです。
大学に通うべきか迷っている人へ:学歴は「保険」になる話
大学を出てから社会経験を積んだ私が思う正直な意見では、「大学の授業が社会に出てから役に立つことは少ない」です。
今なら、幅広い学問に関する情報はネットでもアクセス可能ですし、通学期間や学費を考えると、大学のコストパフォーマンスは良くないと思います。
ただ、大学を卒業することによって得られる学歴は「保険」になるというのは間違いありません。
- 就職活動で「新卒」カードが使える
- 海外で働くときに大卒でないと難しい場合もある
今の自分にとっては新卒で就活とか海外就職とか関係ない話と思っていても、ワークライフプランは時代や環境とともに変わると思っておいた方がいいです。
不確実な時代を生きるための❝保険❞という意味でも、大学の学歴は武器になるでしょう。
大学の学歴が必要かどうかは就く職業によって変わる
近年ではメディアやネットの世界で発信力を持つ人が「学歴は必要ない!」と言っていることがありますが、すべての人がそれを鵜呑みにしてしまうのは危険です。
就く業界や職業によって学歴が必要かどうかは大きく変わる
若き起業家やIT系の業界では、中卒・高卒・短大卒・大学中退など、さまざまなバックグラウンドの人たちが活躍しています。むしろ、大卒で大企業に勤めている人よりはるかに稼いでる人もいます。
起業家として自分のエネルギーだけでビジネスをしたい人や、個人で稼げるスキルを発揮できる人は、学歴はあまり問題にはなりません。
一方で、会社に雇われて働く可能性がある人の場合、「大学卒」でないと応募できない求人も少なくありません。
学歴は、就職や転職の際に「常にスタート地点に立てる状況をつくりたい」という人にとっての安心材料になります。
「自分」の特性や能力を考慮した上で、学歴が必要かどうかという判断をするのが大事だと思います。
なぜ企業が大卒の人を採用する傾向があるのか
「学歴社会は時代遅れ」と言われながらも、大企業を含めて多くの企業がいまだに学歴を考慮している傾向はあります。
以前、NHKの番組の【学歴の経済学】というテーマで、日本大学経済学部教授の方が以下の解説をしていました。
・大学で4年間学んだことにより、会社に利益をもたらす知識・技量があると考えられる
・コストがかかる行動を取ることで、自分の本気度や能力を伝えるシグナルになる(能力の推測が可能)
経済学的に見ると、企業が大卒という学歴を重視して採用をする理由として上記のことが考えられるという話でした。
事実、大卒でなくても優秀な人はたくさんいます。
ところが一定の判断基準を設けたい企業側としては、「大学を卒業しているかどうか」という点を最初のフィルタとして見ているところもあるようです。
大学がムダだと思うなら在学中に別のことをすればいい
大学の講義がおもしろくないと感じていたり、4年間の若くて貴重な時間を大学生活に使うのはもったいないと思う人は、在学中に別のことをしてみるといいと思います。
バイト以外でお金を稼ぐビジネス、海外留学、専攻以外の勉強、資格取得
社会に出て働き始めるとまとまった時間が取りづらくなります。「大学生」の4年間は、若くて貴重な時期を自由に使えるチャンスでもあります。
よく「モラトリアム期」と言われたりしますが、10代後半~20代前半の大学時代は社会に出るまでに自分を見つめるタイミングとして最適だと思います。
休学という選択肢もある
やりたいことをしながらストレートに卒業するのが理想かもしれませんが、最近では、目的を持って前向きに休学を選択する人もいます。
- 長期留学
- 企業インターン
- 個人で稼ぐビジネスを始める
中には在学中に自分で始めたビジネスで成功して、そのまま大学を辞めていく人もいますね。
大学生で成果を出せる人はごくわずかですが、在学中に始めたビジネスを通して「自分の力で稼げる」という実感を得られたのなら、学歴なしでもやっていける確率は大幅に上がると思います。
「大学よりもオンラインサロンに入れ」という話について
オンラインサロンについては、運営者によってコンテンツの有益性もさまざまで、一部が賛否両論を巻き起こしたことも手伝って世の中に浸透してきた印象です。
コスパを重視する意見として「大学に入るぐらいならオンラインサロンに入るべき」というひと昔前では考えられない議論も話題になりました。個人的にはこの意見も多少は理解できます。なぜなら大学では教養は身につくけれど、仕事の実務を学べる場ではないからです。再現性が高いビジネスを学べるサロンを慎重に選べば、人脈を含めて実践で役立つ何かを得られる可能性はあります。
ただ、オンラインサロンを出ても社会一般で認められる「卒業証書」が手に入るわけではないという意味では、学歴という資格が残る大学と同列で比べてしまうのはどうかな…と。
一定の成果を出している人やインフルエンサーたちの発言は影響力が大きいですが、あくまで自分軸で考えることが大事ですね。
そもそも学生の頃に有料コミュニティであるオンラインサロンに入ろうとする人はかなり意識が高いタイプだと想像します。最近では無料で質の高いプラットフォームも増えているので、自分で学びながら活動の幅を広げていくことも可能かもしれませんね。
2020年から始まる「大学無償化」の制度について
ここまでは、各家庭の経済的な事情を考慮せずに「大学に行くことは保険になる」という話をしてきました。
「すべての家庭で大学に行かせられるわけではない」という意見もあるかと思いますので、大学無償化の制度についてもまとめておきます。
「大学無償化」は正しくは「高等教育無償化」と呼ばれ、大学、短大、専門学校、高等専門学校で学びたいが経済的に困難な学生に対し教育費を支援する政策。
2020年4月より開始され、全学生の約2割もの人が対象となる見込み。
大学無償化の対象となる世帯には基準が設けられており、年収380万円未満の世帯に限られます。
※詳しい基準はコチラ>> 高等教育の無償化のこと | 政府広報オンライン
これまでは経済的に学費を工面することが難しい学生は奨学金制度を利用することが多く、卒業後に長期間の返済が続き就職後の負担が大きい事が問題となっていました。
今後は、学習意欲は高いのに大学などの教育を受けられないという学生が、公的支援を利用できる仕組みが広がっていくと予想されます。
まとめ
大学の学歴が必要になるかどうかは、就く業界や職業・ライフプランによって異なります。
企業に雇われて働く可能性があるのなら、大学の学歴があることで有利になるのは確かです。
一方で、一部の学歴不要な業界や、起業家として自分の力でビジネスをやっていきたい人にとっては、大学に行く時間がムダという考え方も間違ってはいません。
周囲の影響力のある人の意見だけでなく、自分の能力や適性を考えて判断することが大事だと思います。
いったん大学に入り、在学中に個人ビジネスなどを通してさまざまな活動をする学生も増えています。
学歴が全てではありませんが、「保険」として手に入れておく価値のある資格だと私は思います。