人生100年時代の到来はさまざまな変化をもたらします。
「引退後に余生を楽しむ人生モデルはもう終わり」とまで言われているのです。
日本では、終身雇用や年金制度が崩壊するかもしれないという不安がありますが、そんな中で、長い人生をうまく生き抜くための戦略について解説された本があります。
『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』
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世界的なベストセラーになったので聞いたことはあるかもしれませんが、内容は詳しく知らないという人も多いと思います。
こんな疑問を持っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
(この記事は5分くらいで読めます。)
【ライフ・シフト】100年時代の人生戦略

『ライフ・シフト』は400ページくらいのボリュームがある本です。
この記事では以下の2つの点にフォーカスして解説していきます。
ポイント①:
「人生100年時代の働き方」
ひとりひとりが違った働き方を見出し、自分にとって理想的な形を追い求めていく流動的なステージを経験する
ポイント②:
「幸せな老後のために今から大切にすべきこと」
長い老後にそなえて蓄えてえておくべき資産として、健康・人間関係・スキルのような「見えない資産」が重要になる
それではまず「人生100年時代」というのが具体的にどういうことなのかを整理しておきます。
医療技術の進歩などにより、10年ごとに2~3歳くらい平均寿命が延びています。
<100歳まで生きる確率>
・これまで:1%~2%
・これから:50%くらい
具体的にいうと、今の小学生の2人に1人が100歳まで生きるようなイメージです。
今40歳の人でも、95歳くらいまで生きると言われています。
平均寿命が延びている(100年くらい生きる)
↓
❝100年プラン❞で人生を考えなければならない
本の中では、世代別の登場人物が3人出てきて、それぞれのモデルケースごとに説明されています。
この記事ではわかりやすく
● 親世代 (定年過ぎくらい)
● 私たち世代 (20代~くらい)
という表現で対比してお話しします。
今の若い世代は、親世代とは異なる生き方・働き方をしていくことになるのですが、具体的にどのようなことが起こるのかを見ていきます。
ポイント①:人生100年時代の流動的な働き方

長寿化とは、「より長く働く社会」を意味します。
特に日本では、寿命が延びるのにもらえる年金は減ってしまうので、年をとっても働き続けないと生活できない人が増えます。
「引退後に余生を楽しむという人生はもう終わり」
著者のリンダ・グラットンさんはこう言っています。
さて、ここで問題が生じます。
そもそも、70歳くらいまで同じ会社で働くのが難しくなってきていますよね。
※外部記事:日本型雇用は“幻想” トヨタ・経団連トップの「終身雇用難しい」発言で露呈
日本の雇用制度や企業年金を当てにして一つの会社に勤め続けるのは危険かもしれません。
仮に定年まで同じ会社で働けた場合でも、長い老後にまた働くことになったとき、一つの会社だけで得たスキルや知識がそのときに使えるかはわかりません。
時代の変化に応じて人生プランを劇的に変えないとまずいことになる
まずは「60代や70代は”ご隠居生活”」というような、年齢に関してのステレオタイプを取り払っていかなくてはいけません。
「長く働く」将来の生活がどのようになるのかを見ていきます。
親世代の❝3ステージ❞人生は通用しなくなる
親世代では、固定化された人生の❝王道パターン❞がありました。
[親世代まで]
教育 → 仕事 → 引退
「大学に通い卒業後に就職し、定年まで終身雇用で40年働き、退職した後は貯金と年金で暮らしながら趣味に没頭する」こんな人生が理想とされていました。
私たち世代では、この3ステージの常識が崩れます。
【変化が激しいこれからの時代】
・終身雇用が守られない可能性あり
・技術の進歩が速い(AIに仕事を奪われる)
・情報の流通量がますます増える
その結果、時代の変化に対応した❝流動的に変化し続ける人生設計❞を立てなければならなくなります。
これからは『マルチステージ』が当たり前に

では、❝教育→仕事→引退❞という予測可能な人生ではなくなったとき、どのようになるのでしょうか。
結論から言うと、以下ですね。
人生100年時代の人生設計に正解はなく、自分の理想とする生き方を求めて流動的に変わり続ければ良い
本の中では、みんなが同じ時期に同じことをする一斉行進の時代は終わり、『マルチステージ』の人生に変わりつつあると書かれています。
そして自分にとって理想的な人生にするために経験するステージとして、3つが挙げられています。
①エクスプローラー(探検者)
多様な価値観に触れ、自分のアイデンティティについて考える期間です。
新しいことに挑戦し新しい人に会うことで自分を見つめ直すことができます。
具体的には、旅や留学などを通じて幅広い進路を探ることですね。
②インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)
組織に属すことにとどまらず、自由と柔軟性を求めて小さなビジネスを起こすことです。
自分で小さく起業しながら学習を深めていくやり方ですね。
昨今の副業解禁はこの流れを汲んでいます。
③ポートフォリオワーカー
異なる種類の仕事や活動に同時並行で関わることです。
有名な実業家などは、このような働き方をしていますね。やりたいことが多く、既にスキルや人脈の土台を築いている人たちにとっては最高の働き方です。
このステージに上手く移行するには、フルタイムの職についているうちに小規模なプロジェクトや副業などで実験を進め、汎用的なスキルや自分がいるコミュニティ外の多様なネットワークを持つのが大事ですね。
多様な働き方を楽しめるようになる
「これからはこういう時代になりますよ」という未来の話だけではなく、既にこの本に書かれているような行動を起こす人も最近は増えてきたと感じます。
最近の「多様化」の例
●就活
これまではみんな同じ時期にするのが普通だったのが今は「就活はしない」と決めている人がいたり、新卒で就職せずに旅に出る人もいる。
●独立、起業
副業などで仕事をして人脈をつくり、それから起業する人も増えた。
一定のキャリアを積んでいても、そこから外れて自分のビジネスを始めることも。
●仕事の小休止
男女関係なく、「子育て」や「スキルの習得」などに専念するために、長期の休み期間をあえて設ける人もいる。
親世代では「サラリーマンは、休みなくずっとサラリーマン」という働き方が普通でしたが、これからはますます流動的になっていきそうですね。
[例] 教育→仕事→休み(自分探し)→教育→仕事→引退
サラリーマンだった人が、経験や人脈をつくるために勉強して自分で小さいビジネスを始めてみて、その後にまたサラリーマンに戻ったって問題ないわけです。
変化を恐れる声も多いですが、見方を変えると多様な働き方を楽しめる時代とも言えます。
こういう前向きな考え方をする人にとっては、チャンスが広がる時代ですね。
ポイント②:幸せな老後のために今から大切にすべきこと

生きる時間が長くなるということは、それだけ多くの資産を蓄える必要があるということです。
資産には、「有形資産」と「無形資産」があります。
有形資産:お金、貯蓄、株、不動産
親世代は、この「有形資産」さえあれば短い老後を幸せに過ごすことができました。
もちろん今後もこういった有形資産が大事だということに変わりありません。
ところが、老後が長くなる私たちにとって、もっと大事にしたほうがいいのは「無形資産」なのです。
無形資産:健康・良好な人間関係・知識・スキル
これらの❝見えない資産❞を大事にできる人こそ、人生100年時代を幸せに生きることができるといいます。
「無形資産」を軽視すると寂しい老後になる
健康や人間関係といった「無形資産」は、お金に換算することこそできませんが立派な資産なのです。
理由:不健康で孤独な老後はツライから。
お金はあるのに友達はおらず、不健康で食べたいものも食べられず趣味もない老後だと、楽しく暮らすことはできません。
<悲しい老後の例>
お金を稼ぐために会社にコミットしまくって、定年退職した後に周りに人がいなくなった
お金という有形資産ももちろん大切ですが、健康や人とのつながりも早いうちから大事にしておかなければいけないなと、この本を読んで強く思いました。
大切にすべき3つの「無形資産」

本の中では、無形資産として3つの種類が挙げられています。
①生産性資産
無形資産の1つ目は、❝生産性を高める❞ものです。
例えば、価値あるスキルを生涯とおして学んでいくこと、自分のプラスになる人間関係を維持することですね。
そして、会社や組織に頼らない「個人としての評判」もこれに該当します。
②活力資産
2つ目は活力の維持です。
100歳まで幸せに生きるためには、肉体的・精神的な「健康」こそが重要な要素ですね。
運動や食生活に注意すると同時に、ストレスと上手く付き合っていくことも大事です。
友人や家族と良い関係を続けていくことも大きな意味があります。
特に、友情を長続きさせて深めている人は、高齢になってもエネルギッシュで前向きな傾向があると言われています。
③変身資産
無形資産の3つ目は、変身する力です。つまり、「変化」することが大事ですよという話です。
マルチステージの話でもあったように、これからの時代は人生の途中で新しいステージへ移行する必要が生じます。
そういった❝変化❞につきものの不確実性に対処するための意思と能力が求められます。
具体的には、以下の2つの要素が重要になります。
①自分についてよく知っていること
→ 自分のやりたいことを自覚していればすぐに変化できる
②新しい経験に対して前向きな姿勢を持っていること
→ 変化についていける人が成功しやすい
自分をよく知っておいた上で、新しいやり方を否定せずに「変化に対してワクワク感を持つ」姿勢が大事ですね。
100年時代に備えて今できること:「学び」

「ライフ・シフト」に書かれている人生100年時代では、ざっくり言うと以下のような経験をすることになります。
・何度も学び直してスキルを得る
・職業を変える
・結婚や子育てなどを含めさまざまな経験をする
・充電をたっぷりする
・会社を超えた社会との関係を保ちながら生きていく
↑全員がこれらすべてを経験しなければいけないというわけではありませんし、どういう人生を生きるかは個人の自由だと思います。
ですがもし「100年時代に備えて今からできることをしたい」と考えている人には、私は圧倒的に『学び』『スキル習得』をおすすめします。
親世代は、基本的に義務教育を受けておけば定年までそれほど困ることはない時代でした。
ところが、今の若い世代では高校や大学までに習った教育で、定年退職まで逃げ切るのは難しくなります。
テクノロジーの進歩に応じて『学び直し』は不可欠
生涯を通じて複数の新しいスキルと専門技能を得る重要性が増しているんですね。
新しく学ぶスキルは「情熱を注げる」というのを前提として、さらに以下の条件を満たすものが理想的です。
・経済的な価値を生み出せること
・希少性があり他の人に簡単に真似されないこと
特に、これからの時代に必要とされるのは、イノベーションを生む力(創造性)です。
また、AIに代替されないという点で考えると、❝人間ならではの力❞が活かせるものも良いですね。
具体的には、「難しい意思決定をする力」や「チームのモチベーションを向上させる力」などは今後も求められるでしょう。
まとめ:「ライフ・シフト」を読んだ後の行動が大切
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せっかくライフシフトを読んでも、「この話は自分には関係ない」と思って無視してしまうのはもったいないです。
自分の考えよりも、世界的に有名な研究者である著者が言っていることの方が正しい確率が高いかなと。
本を読んだときに重要なのは、その情報を信頼すること
「寿命が100年に延びる時代」は、社会に大きな変革をもたらします。
変化はチャンスでもあります。いま目の前にある様々なチャンスを逃したくはないですよね。
本を読むだけではそんなに意味がなくて、「自分の人生に落とし込んで行動する」ことができるかが大事だと思います。
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