秘書の仕事はAIに代替されると予想されていることから、将来性を不安視する声が聞こえてくるようになりました。
この記事ではデータや経験談をもとに、特に会社内で働く秘書の将来性について考察していきたいと思います。
- 日本企業の秘書歴:約7年
- 外資系企業の秘書歴:約1年
(資格:秘書検定準1級)
※今はもう秘書の仕事は辞めました。
これからつく仕事の選択肢の一つとして秘書職を考えている人は、是非チェックしてみてください。
秘書の仕事の将来性は?
近年、秘書の仕事の将来性が厳しいという声が聞こえてきます。
その理由をデータをもとに見ていきます。
AIに代替される職種ランキングでは2位
その大きな理由の一つが、AIに仕事を奪われてしまう可能性が高いからです。
画像引用:今後「AIに代替される」職種ランキングより
コンサルの予想によると、一般事務の仕事とともに「秘書・アシスタント」は40%以上がAIに取って代わられると考えられています。
このデータで注目すべきポイントは、他の多くの仕事と比べて代替される確率が著しく高いとされているところです。
オンライン秘書という新たな形
スモールビジネスを中心に「オンライン秘書」の需要が高まってきています。
これは秘書が会社内にいて上司をサポートするのが当たり前というこれまでの概念が崩れてきていることを意味しています。
業務量の変動に合わせて幅広い仕事を依頼できるので、社員やアルバイトを雇用するよりも融通が効く
総務省のページでも、ICTが拓く未来社会としてオンライン秘書が紹介されています。
すべての秘書の仕事が無くなるわけではない
秘書の仕事はAIに奪われてしまうし、会社内の仕事はオンライン秘書に外注されてしまうんだったら、今後はもう秘書の仕事は選ばないほうがいいのか?と疑問に思われるかもしれません。
秘書の中でも残る仕事・無くなる仕事があると考えられますので、具体的に見ていきます。
無くなる業務、残る業務
秘書の仕事は多岐にわたり、会社や上司の方針によっても任される仕事が大きく異なります。
❝AIによる代替❞という観点から、業務内容別にどのような仕事が今後も必要とされるかを見てみます。
書類業務、スケジュール管理
→定型業務こそAIの得意とする分野なので少しずつ減っていきます。
円滑なコミュニケーションが必要とされる業務
→顧客対応などホスピタリティが重視される業務は引き続き人間がやると思われます。
AIには出せない❝人間❞としてのヒューマンスキルが必要とされる業務は残る可能性が高くなります。
秘書『個人』としてはどうなるの?
秘書業務をどの程度残していくかについては、会社の経営状況やAI導入への積極性によっても変わってくるので一概には言えません。
かなりベテランで歴の長い秘書の方と一緒に考察をしたのですが、その時に出た大方の予想は以下のとおりです。
会社の中の秘書にも種類がありまして、一般的な分け方としてはこのような感じです。
・社長クラス
・役員クラス
・部長クラス
どのような秘書が残るのかについてですが、安泰だと予想されるのはトップクラスの秘書です。
社長クラスを担当する上級秘書
他秘書と差別化できるくらいの高度なスキルがあるという前提での話ですが、社長秘書クラスであればAIやオンラインで代替される可能性は低いと思います。
さらに、トップとの信頼関係が築けていて、頼りにされていればいるほど安心かと。
役員クラス・部長クラスの秘書も、会社の方針によってはもちろん残すところもあるでしょう。
ただ将来的に会社が❝人件費の削減❞に動く際には、いくら個人の能力が高くても一括で無くなってしまう可能性があるのは否めません。
秘書の仕事はスキルとして残ると思う話
秘書の仕事を通して、様々な能力を養うことができます。
その中でも、今後もスキルとして評価されるであろう能力は以下です。
- コミュニケーション能力
- 調整能力
- トラブル対処能力
これらのスキルは、AI時代でも他の仕事で活かすことができます。
そのため、例えば今秘書の仕事についている人がすぐに転職を考える必要は無いんじゃないかと思っています。
万が一ですが、その会社内で秘書の仕事がなくなってしまったとしても、これまでに培ったスキルは他の職種でも評価されると思います。
【経験談】秘書として働き続ける?私の選択
ここまでは一般的に伝えられている情報をもとにお話しをしてきました。
ここからは、20代前半から続けてきた秘書の仕事を「辞める」という選択をした私が、その決断に至ったった経緯をお話しします。
外資系企業で感じた『秘書職』の厳しさ
外資系企業で秘書をしたときに、お金をもらう仕組みについて考えさせられることがありました。
その会社では業務内容によって以下のような分け方がされていました。
●billable(例: 営業・エンジニアなど)
お客さんからお金をもらう仕事をする人
●non-billable(例: 事務・秘書・中間管理職など)
❝billable❞の人がした仕事で発生したお金から給料が払われる人
その会社はグローバルとも連携してかなり進んだやり方を実践していて、将来的にはnon-billableである「秘書」というポジションを無くしていく方向で動いていました。
これは秘書に限った話ではないですが、どんな会社も❝billable❞の仕事を拡大していきたいと思うのは当然ですね。
秘書の仕事が減っていくタイミングは、日本企業よりも外資系企業の方がずっと早く訪れるのだと予想できます。
秘書団体の上層部ですら「AIに奪われる」ともらす
私は一時期『日本秘書クラブ』という団体の会員になっていました。
その団体が主催する講座で、秘書業務に就く人たちに向けて団体の偉い方が伝えた言葉にとても正直な気持ちが表れていました。
「秘書の仕事はAIに奪われていくと言われています」
そんな中でもスキルの高い秘書を目指しましょう、という趣旨の話でした。
既にネットなどでAIに代替される話は出ているのでそれほど驚くことではないかもしれませんが、『日本秘書クラブ』という秘書専門の団体から出た言葉となると話は違いますね。
この発言が秘書の現状と未来を物語っているようで、重みが感じられました。
秘書の仕事の本質-❝アシスタント❞
秘書の仕事の本質部分の話になりますが、業務を全うする上で最も大事なのは以下のことです。
上司の仕事の❝補佐❞
(=指示に従う)
これをいかに忠実に要領よくやり遂げられるかが重要でして、自分が好きなように進めていける仕事とは真逆の世界です。
AI時代に代替される可能性があっても秘書の仕事を選ぶのなら、いろいろな上司がいる中でモチベーションを保ち続けられるような心意気がないと厳しいのかなと感じます。
これまでたくさんの秘書の方々を見てきましたが、中には「自分は秘書が天職」というような秀でたアシスタント能力を持った方が何人かいました。
本当に素晴らしい才能ですし、そういう方は今後もずっと秘書として活躍し続けるべき貴重な人材だと思っています。
私はというと、、天職では無かったですね!😂
20代前半から秘書、つまり❝誰かのアシスタント❞という立場でやってきたからこそ、今では「自分の力で何かを作り上げること」に強く惹かれています。
これから『秘書』になりたい人へ
秘書の仕事はAIに奪われてしまう可能性があるのは事実です。
ただ、頑張れば上の人から直接認めてもらえるのでやりがいはあります。
会社の中で経営に関わるレベルの方々とも密にやりとりできる仕事ということもあって、勉強になる部分も多いです。
会社によってはAI時代でもずっと人間の秘書を雇い続けるところもあるでしょう。
これから秘書に挑戦してみたい方は、入る会社のことをできる限り調べて「どんな仕事ができるのか」「スキルとして残りそうか」という点ををしっかり確かめてから決めるのをオススメします。