近年、機械翻訳(Google翻訳)の精度がどんどん上がってきています。ですが、そんなAI時代でも英語を学ぶ必要はあります。
この記事では、AI時代に英語を学ぶ必要性についてお話ししていきます。
- 資格:英検1級、TOEIC960点
- 仕事:ビジネス英語(翻訳含む)経験あり
- 学習指導:学習塾・英作文の添削指導など
AI時代でも英語学習が必要な理由
AI時代にも英語を使いこなすためには、勉強をしなければなりません。
その理由は以下の2つです。
①機械翻訳に100%頼ることはできない
②機械を通してでは真のコミュニケーションは取れない
これらについて、現時点でのAIの精度に基づいてお話ししていきます。
理由①:今の機械翻訳の限界
英語における「AI」の話は、機械翻訳(=Google翻訳)の進歩と直結しています。
近年では、Google翻訳の精度がかなり高くなっています。
実際に使ってみると90%以上の精度で答えを出してくれますし、将来的にはプロの翻訳者のニーズが大幅に減るとも言われています。
ですが稀にではありますが、不十分な答えが返ってくることがあります。
例えば、【日本語→英語】のGoogle翻訳で検索した時にこんな結果が出ました。
入力した日本語)私は何事も割り切って考えるようにしています。
Google翻訳)I try to think about anything.
この文で一番伝えたい「割り切って (=個人的な感情を交えずに判断する)」の部分が翻訳に反映されていません。
そこで、もっと短い文章を入れてみました。
入力した日本語)割り切って考える
Google翻訳)break through
これは間違っていますね。
break throughは「打ち破る」とか「大発見をする」という意味はありますが、「割り切る」という意味とは異なります。
ちなみに、もっと短くして「割り切る」とだけ入力した結果に表示されたGoogle翻訳は”be divisible”。数値が割り切れるかどうかの話になってしまいました。
このように必ずしも正しい答えが出ない場合もあることから、特に内容の正確性が強く求められる分野においては、機械翻訳を信頼しきるのは危険です。
ベースの訳としては機械翻訳を使えるけど手直しが必要
長い文章を訳す場合に、一から辞書を使って訳す必要はもうなくなりましたが、チェックと手直しはした方がよいです。
その際には人間の英語力がいります。しかも、間違いに気づけるレベルの一定以上の英語力があることが望ましいです。
また、Google翻訳を『英語学習』で使おうとすると、上の例であげたような間違った訳で覚えてしまうことになるので、現時点では避けた方がいいと思います。
単語や短いフレーズを翻訳する際に、信頼できるサイトとして英辞郎on the web (アルク)があります。
英辞郎では、「割り切って考える」の英訳も”be pragmatic about everything”と、こちらの意図を理解した答えが返ってきました。
理由②:真のコミュニケーションが取れない
仮に、Google翻訳が今後さらに精度が上がったとして、日常やビジネスで『会話』をするのに使う場合について考えてみます。
結論から言うと、機械に頼って会話をしているのでは真のコミュニケーションは取ることができません。
- 文脈や感情を理解したり空気を読むことは機械にはできない
- 「この人は英語ができない人なんだな」と判断されて信頼度が下がる
それでは、会話を通じたコミュニケーションという点について詳しくお話ししていきます。
AIは非言語のコミュニケーションを理解できない
コミュニケーションは、非言語(声の抑揚やジェスチャー)の部分まで感じ取ることで成立します。
AIはこういった部分まで理解することはできませんので、完全なコミュニケーションを取るレベルにはありません。
文脈や空気を読んだ上で、その場に合った言葉を発するのは人間だからできることです。
外国の人と友達になって深いコミュニケーションをしたいなら、機械翻訳に頼っていたら本当の信頼関係を築くことは難しいです。
ビジネスにおける「英語ができる」ことの信頼性
ビジネスで使う英語が❝メールを書くこと❞ぐらいだという人にとっては、AI時代では英語の勉強にそこまで力を入れなくても良くなりました。
読み書きをするだけなら、機械翻訳がかなりの部分で役立つからです。
ですが、商談や接待など顔を突き合わせてやり取りするシーンでは、自分の言葉で英語を話すことによって「英語によるコミュニケーションが取れる人」と判断され、安心感や信頼性が高まります。
その時にはもちろん、機械翻訳レベル以上の高い英語力があることが前提になりますので、英語を勉強して話す力をつける必要があります。
英語を学ぶかどうかは本人の希望次第
英語を勉強する必要がある理由として、機械翻訳が100%正しいわけではないことや、真のコミュニケーション力の重要性に関するお話しをしてきました。
ここで、逆の視点で考えてみます。
それほど高い英語力を求めていない人は、AIの進歩によって、英語の勉強に時間とお金を費やす必要性がなくなったとも考えることができます。
「100%正しい英語でなくてもいい」「機械翻訳に頼れば十分」という人
→学校の勉強だけでもOKだと思います。
機械翻訳の精度が今後さらに上がっていくことを考えると、最低限の英語の勉強だけで十分という考えもありだと思います。
「海外旅行ができたら満足」「❝真の❞コミュニケーションとか必要ない」という人
→ポケトーク(POCKETALK)でもOKだと思います。
英会話力も、なんとか意図が伝わるレベルで問題ないと考える人にとっては、一所懸命スピーキングの勉強をする必要はないとも言えますね。
このようなAI翻訳機などに頼れば十分だと考えている人にとっては、無理にがんばって勉強する時代ではなくなったのは確かです。
英語の勉強のかわりに、他のスキルを習得するというのも時代に合った行動だと思います。
本人がどんな場面でどの程度の英語を使いこなしたいかによって、必要な英語学習のレベルも変わってきます。
英語を真剣に勉強するべきかどうか迷っている人は、『今後10年以内に日常生活や仕事などで正しくハイレベルな英語を使いこなしたいかどうか』を一つの目安と考えても良いと思います。
(※期間を「10年」としたのは、10年後にはAIのさらなる進歩によって英語の使い方が変わっている可能性があるからです。)
AI時代の英語学習
AIが発達した今の時代では、機械翻訳の精度が上がっていることから読み書きの能力は昔ほど要求されなくなりました。
その一方で、コミュニケーションによる英語のやりとりをする能力、つまりスピーキングに力の重要度が増します。
反応速度を上げるスピーキング練習
人間同士が英語でコミュニケーションを取るときに、重要なのは反応速度です。
「この単語はなんだったかな?」と考えこんで黙るのではなく、脊髄反射レベルで言われたことに対してパッと言葉を返す訓練をする必要があります。
▼オススメの本▼
勉強にAIを取り入れて使いこなす
「AIにより英語を学ぶ必要がなくなった」のではなく、「AIを使って英語を学べるようになった」という発想を持つ人が、短期間で英語力を上げられる時代です。
最近ではスピーキングの練習をするのに、英会話アプリのスピークバディやナンナなどで気軽に学ぶ人が増えています。
もちろん、英会話スクールやオンライン英会話などの❝人と人❞による英会話と比べると、アプリの音声認識等にまだまだ改善の余地はあります。
ですが、AI英会話アプリによってあまりお金をかけずにスキマ時間に学べるようになり、英会話学習へのハードルが下がったのは間違いありません。
まとめ:AI時代に必要な英語力とは
AI時代に英語を勉強した方がよい理由は、①機械翻訳の間違いに気づけるだけの英語力、そして②人間らしい会話力をつけるためです。
AI時代にはAIに❝使われる人❞と❝使いこなす人❞の間に収入などの点でも大きな差が生まれると言われています。
英語においても同じことが言えまして、「AIを使いこなして英語を使う」という能力をつけるのが新しい時代の英語力です。