転職市場では相変わらず事務職が人気ですが、最近では「事務職は将来的に無くなるだろう」と言われています。その大きな理由は、IT化(AI時代の到来)です。
この記事では、事務職の未来やいま事務職についている人が取るべき行動についてお話ししていきます。
事務職が無くなっていく理由
AI(人工知能)が驚くべきスピードで発展を遂げています。AIの発達につれて、事務系の仕事はAIに代替されていくと考えられています。その理由は以下のとおりです。
- AIはマニュアル化した仕事が特に得意だから。
- AIの方が人間よりミスが少ないから。
- AIは365日・24時間、稼働できるから。
定型的な作業が多く、マニュアル化された仕事の集まりである事務の仕事は、他の仕事に比べてAIに代替されるのが他の職種よりも早いと言われています。
また、書類やデータを扱う事務という仕事をするときに、人間より機械の方が圧倒的に間違いが少なくなるという点も事務的な単純作業にAIが積極的に導入される理由です。
24時間365日、文句を言わず働いてくれるAIの方が扱いやすいのも事実です。
何系の事務員がAIに取って代わられる?
事務職といっても色々なジャンルがありますが、どの分野の事務職が無くなると言われているのか、資料をもとに見ていきます。
一般事務、医療事務、営業事務、学校事務、行政事務、経理事務、人事事務、貿易事務、保険事務、郵便事務、その他の事務
野村総研とオックスフォード大学の共同研究によって発表されたレポートでは、上にあげたジャンルの事務員がAIによる代替の可能性が高いとされています。
要するに、すべての事務職が無くなるかもしれないということです。
ちなみに、ここにはジャンルとしての記載はありませんが、「アシスタント・秘書系」の仕事もAIに代替されていくとされています。
事務職はいつ無くなるの?
事務職がいつ頃なくなるかについては、大体の予測では10~20年以内だと言われています。
ずいぶん先の話だと思われるかもしれませんが、実際にはAIの技術は既に事務の仕事を代替できるところまで来ていて、ただ導入されていないだけなのです。
事務職が無くなるのは大企業から
今の時点では、機械がやるより人間がやる方がコストが安いから事務仕事を人間がやっているという状況です。
資金的にも余裕があり人員の規模が大きい大企業から順番にAIを導入していく
⇒ 事務仕事が無くなっていくのは大企業から
事務職をかかえる会社の規模や導入への積極性によっても変わってくるので、いつ無くなるかの予測には幅があります。
とはいえ、将来的にはどの会社の事務も縮小されていくのは間違いありません。
既に事務職に起こっている変化
最近話題になった2つのニュースに、既に事務系の仕事にAIの波が押し寄せていることが表れています。
銀行の一般職(事務系)が廃止になる?!
大手銀行が、主に事務系がメインの一般職を廃止して総合職に一本化するというニュースがありました。
一般職とは、「企業において定型的な一般業務に取り組む職」のことです。
お金を計算したり、ある口座から別の口座に移したり、外国のお金に両替したりすることは、コンピュータ―が最も得意とすることです。
「銀行」という場所が一番最初に多くの事務員を淘汰する動きを始めた、そんな象徴的なニュースだったように思います。
保険会社なのに、あるとき突然「介護部門」に?!
損害保険会社でも、驚くべきニュースがありました。
「ITで効率化」というのは大半の事務の仕事が影響を受けることになります。
大規模な人員削減への驚きと同時に、❝「余った従業員」は介護分野に配置転換する❞との表現のインパクトが強く、話題になりました。
事務の仕事をしていたのに、ある日突然「介護部門へ異動です」と言い渡されるかもしれないのでありまして、リストラでないからまだ良いという考え方もできますが、これまでになかった変化が起こっているのは事実です。
いま事務職の人が取りうる行動とは
いま現在「事務職」についている人は、先を見据えてできる範囲で行動を取った方がよいと思っています。
ここからは個人的な見解になりますので、一つの意見として参考までにご覧いただければ幸いです。
正規雇用の人・非正規雇用の人では状況が異なりますので、分けてお話ししていきます。
正社員の人
事務職で働く正社員の人は、今の仕事の環境に満足しているのであれば急いで転職を考える必要はないと思います。
ただ、事務仕事は今後数年で確実に減っていくので、意図しない部門に変更になる可能性はあります。
その時に、会社に残るという選択肢以外にも「転職」を考えることもあると想像されます。
AIの導入により、❝事務❞という専門性だけでは転職時に勝負しづらくなった
→ 早いうちから別の専門性を身につけて個人としての価値を高める
専門性がある事務スキルは評価の対象になることもありますが、「一般事務」の場合、残念ながらこのAI時代では評価されにくいです。
時間を見つけて何か新しいことにチャレンジ(勉強)するのがよいと思います。
少し話はそれますが、最近では「そもそも会社の中で正社員として働くことが本当に良いのか?」という疑問をちらほら耳にします。
企業は終身雇用を守れない可能性がある
→ 正社員で働くことの魅力は昔と比べて薄れている
他の正社員の仕事に転職をするという選択肢に加えて、最近ではフリーランスという働き方も注目されています。
もし今の会社が副業可能であれば、少しの時間でも良いので将来性のある分野で副業をして、個人としての経験や価値を高めておけばいざという時に大きな強みになるでしょう。
派遣社員・契約社員(非正規)の人
事務職で働く契約社員・派遣社員の人は、タイミングを見て別の仕事に切り替えても良い時期がきている気がします。
派遣社員の募集ページには、今でも多くの事務系の仕事が連なっているので、「事務仕事はまだまだ需要があるじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、そういうわけでもありません。
企業はいつでも事務系の仕事をAIに切り替えられるように、将来的に無くなる可能性がある仕事には派遣社員を雇っている。
現行の法律ではすぐに解雇されることはない正社員とは違って、派遣社員や契約社員の場合には、その人がどれだけ有能であっても「事務」という仕事自体が必要なくなってしまったら問答無用で契約終了を言い渡されてしまう可能性はあります。
このように立場が弱いと思われる派遣社員ですが、上手く立ち回れば「身軽で動きやすい」という強みがあります。
正社員よりも気軽に仕事を変えることができる
個人的には、この身軽さはAI時代には正社員よりもよっぽど有利なんじゃないかと思っています。
数ヶ月後には新しい派遣先で全く違う仕事を経験することができるというメリットを最大限に活用して、仕事をしながら事務以外の将来性のあるスキルを身につけられたら安心です。
この先「一生事務員」は難しいかも【別のスキル習得が必要】
事務系の仕事の多くは派遣などの非正規雇用に変わりつつあります。もはや安定した仕事では無くなってきたということです。
一般事務職が衰退してしまうのは変えられない事実なので、別のスキルを磨いた方がいいと考えます。
こういう話を聞いてもたいていの人は「自分は大丈夫」と言って行動しないので、行動する人にとってはチャンスでしかありません。
事務の仕事を辞めて次の仕事を探すときには、既に❝椅子取りゲーム❞が始まっているかもしれませんので、早く行動した人の方が圧倒的に有利になると思います。